2013年9月13日金曜日

「宇宙飛行士の訓練に学ぼう JAXA流チームワークの育て方」に参加して 〜質問2とその解答

前回の 「宇宙飛行士の訓練に学ぼう JAXA流チームワークの育て方」に参加して 〜質問1とその解答 に続きまして質問2です。

9月12日宇宙の日に開催されたJAXAのワークショップに参加してきたわけですが、ワークショップ後半に出された質問2問のうち2問目をご紹介したいと思います。

では早速、質問2



質問2:5つのチームがあります。与えられた課題を早く終えるチームは?順位をつけてください。

 A. チームメンバーの3割がみんなの意見に賛成する。
 B. チームメンバー3割が何事にも反対する。
 C. チームメンバー全員が自由に意見を言い合える。
 D. チームメンバーの3割が相互理解の促進に努力する。
 E. チームメンバーの3割が聞き上手/褒め上手である。





これ、実際にJAXAでの訓練で実施したそうです。あの グリーンカード を使って……。

※グリーンカードとは、チームで訓練中の宇宙飛行士のうち限られた数名に極秘で渡され、訓練中に必ず実行しなければならない指令が書かれたカードのこと。極秘指令は訓練を阻害するものであることが多く、突発的なトラブルに対する状況認識、意思決定、問題解決の能力の訓練のために使用される。


この時の訓練は、5チーム各10名に対して「チーム員全員が喜ぶイベントを20分間で考えなさい」というものだったそうです。
上記A〜Eの5チームにどのようなグリーンカードが渡されたかは以下の通り。

 A. 10名中3名に「どんな意見にも賛成しなさい」という指令
 B. 10名中3名に「どんな意見にも反対しなさい」という指令
 C. グリーンカードは渡されなかった。
 D. 10名中3名に「もし分からなければ質問しなさい」という指令
 E. 10名中3名に「反対意見を言う場合には必ず相手を褒めなさい」という指令

果たして結果は如何に?



































それでは正解です。
課題を終えるのが早かったチームから順に紹介します。


第1位 D(チームメンバーの3割が相互理解の促進に努力する)
「分からなかったら質問しなさい」というカードが渡されたチームは、その3名による質問で「相手が自分の意見を真剣に理解しようとしてくれている」という信頼感を得られたことによってチーム運営が非常に円滑に進んだそうです。

質問されると「あれ?もしかして俺のこともっと知ろうとしてくれてる?テヘペロ///」となるわけです。

各人の意見が自分の意見と一致しなかったとしても、否定するのではなく一旦真意を理解しようとする姿勢を作ることは非常に大切なことなのです。
相互理解の促進に努力することって物事を前に進める大きな力なんですね。



第2位 C(チームメンバー全員が自由に意見を言い合える)
グリーンカードが誰にも渡されなかったCチームは2位だったそうです。
もともとチームワークが優れていると見出された宇宙飛行士たちで構成されるチームなので、全員が自分の意見を持っていてかつ相手の意見を聞くことが出来る人たちです。
僕ら一般人で組むチームでは自分の意見を持っていないが故に言葉少なになるメンバーが少なからずいるものなので、必ずしもこれがベストではないとは思いますし、つまりケースバイケースなのかなと。

ただ、物事を前に進めようという意欲のある人々で構成されるチームで自由闊達な議論が出来る環境というのはとても効率的に機能することは間違いないようです。


第3位 E(チームメンバーの3割が聞き上手/褒め上手である)
ほぼCと同様の効果があったけれど僅差でCが早かったという、やはりこれもチームワークを円滑にする効果の高いものだそうです。

野口宇宙飛行士は、反対意見がある場合にまず相手を褒めるという姿勢を持つ代表的な人物なのだそうです。
講師を務めて下さった山口氏は以前、自分が設計した計器?スイッチ?操作盤?を野口宇宙飛行士に使ってもらったことがあるそうです。

「山口さん、これを設計するのは本当に大変だったでしょう。ありがとうございました。でもここがこうなっているともっと使いやすいと思うんです。」

こう言われたらおおそうか待ってろすぐ直すから!って気分になりますね。
まず褒めるというのは相手の能力を引き出す力があるんですね。



第4位 A(チームメンバーの3割がみんなの意見に賛成する)
一見イエスマンのいるチームは議論の進行に障害なくスムーズにことが進みそうに感じられますが、実際にはチーム員が疑心暗鬼となってしまうことでチームワークが乱れてしまうとのことです。

誰かが「Xがいいと思う」と言うと3名は「いーねー」
別の誰かが「正反対のYがいいと思う」と言うと同じ3名が「いーねー」

この状況、他の7名は3名に対して「こいつ考える気無いだろ」ってなりますよね。
意見が出るにつれてこの心理は強く働き始めるそうです。
やっぱりただのイエスマンなんて要らないんですよ。


さあ。ということは栄えある第5位は。


第5位 B(チームメンバーの3割が何事にも反対する)
いやあ!痛快!
そりゃあそうですよ、反対ばっかりしてる人がいたら進むものも進まないですよ。
反○○に勤しんでる皆様にはこの結果をよーく噛み締めて頂きたいですね。

このようなメンバーを抱えてしまったチームは課題を終了させること自体が難しくなるそうです。
そしてそのような環境に置かれたリーダーが議論を前に進めていく方法は3つだそうです。

  1. 反対するメンバーの意見のデメリットを明確に提示する。
  2. 反対するメンバーの意見の通りに物事を進め、一度破綻させる。
  3. 反対するメンバーを切り捨てる。

残念ながらこれしか手段はなさげでした。
反対者が 1 の段階でデメリットを理解して翻意してくれればマシな方で、頑なに反対する場合には 2 か 3 しかないのだそうです。ただし 2 は時間の猶予がある場合に限ります。




今まで関わったいろいろな環境。いろいろな仕事。
自分が大切にしてきたことが認められたようでとても嬉しく思うと同時に、自分の子育てで子供に対して同じようにリードしてやれていたかどうか不安になりました。


ダメダメ言ってたら前に進まないんですよね。
言いたいことも言えないこんな世の中じゃ……とか相手に感じさせちゃいけないですしポイズン。


相手の意見の真意を理解しようとする姿勢を保ちつつ、相手の意見の良い所を見つける。
その上で自分の意見を発することの大切さを噛み締めました。





あ。


ちなみにチームを作る時は奇数のメンバーで構成するのが良いそうです。
理由はまた別の機会に。

2013年9月12日木曜日

「宇宙飛行士の訓練に学ぼう JAXA流チームワークの育て方」に参加して 〜質問1とその解答

渋谷東急ハンズ7Fの HINT 7 で開催されたJAXAのワークショップに参加してきました。
親子で漫画「宇宙兄弟」が大好きで、特に子どもがロケットに夢中なのもあってJAXA関連の施設やイベントには機会が合えば出向くようにしています。

9月12日は宇宙飛行士の毛利さんが宇宙に旅だった日を記念して「宇宙の日」とされています。
HINT 7 では今、宇宙の日を記念して「人工衛星 胸キュンカフェ」が期間限定でオープンしています。
この HINT 7 で今日開催されたのが「宇宙飛行士の訓練に学ぼう JAXA流チームワークの育て方」というワークショップでした。
実際に参加してみて、実生活にそのまま適用出来る興味深い内容に深く共感してしまい、確信と自戒の交錯するとても面白い時間を過ごすことが出来ました。


ワークショップはJAXA有人宇宙ミッション本部宇宙環境利用センター計画マネジャーの山口孝夫氏に講師をして頂いて進められました。
内容は大きく2部に分かれていて、宇宙飛行士が訓練するチームワークの定義の解説をして頂く前半と、用意された質問に参加者が回答していく後半という構成でした。


早速ですが後半に出された質問と山口氏から拝聴した解答と解説をご紹介。
質問は2問用意されていました。
いずれの質問も回答までに用意された時間はキッチリ3分間でした。

では質問1



質問1:燃料の消費量が多い。地球に帰るまでぎりぎりの量だ。あなた(船長)は部下にどう伝える?

  1. 与えられたミッションは最後までやり遂げよう。それが宇宙飛行士だ!
  2. 途中で燃料が切れたら大変だ。ミッションを中止して地球に帰ろう。
  3. どうしたらよいのかわからない。みんなの意見を聞かせてくれ。


【回答】何番が正しいと思いますか?
【理由】その答えを選んだ理由を書いて下さい。



部下を率いてミッション実行を任されている船長。
長ければ10年以上もかけて訓練してやっと手にした宇宙飛行士としてのミッション。
船長はどんな状況認識をすべきか。どんな意思決定と問題解決をなすべきか。
※太字は「チーム行動に必要な能力」として規定されているものです。別エントリーで補足しようかと。





























正解は 2 だそうです。

これ、前提条件として時間的猶予がないというところがポイントでした。
実は僕は 3 と答えました。

どんな状況に置かれても生きて帰ることが宇宙飛行士の最低限のミッションであることを考えれば 1 はありえません。そもそも命の危険を伴うオレオレリーダーシップでは部下がついてきません。
ということでさっさと 1 は除外しました。

生還が最低限のミッションであるとすれば正解に最も近いのは 2 です。
でもここで僕はワークショップ前半で解説されたチームワークの定義の1つ「リーダーシップ」について、「相手の能力を引き出す」ことが規定されていたことを思い出してしました……。



俺船長「燃料は計画通りで行けば確かにぎりぎりだ。でも燃料消費を抑えて当初のミッションを完遂する筋道があるかもしれない。危機的状況でこそ部下と一丸となるべく、管制も含めた各人の得意分野を活かして活路を見出すべきなのではないか!?」



俄然盛り上がるアポロ13号気分!俺こそトム・ハンクス!じゃなかった。ジム・ラヴェル!
3 でいいんじゃないか? むしろ 3 じゃね? いや 3 だろ!



……と思ってしまったわけです。



チームで一丸となって問題解決に挑むため、メンバーの意見を聞くということはチームワークの定義からも間違ってはいない、むしろ正しいとのことでした。
ただし時間に猶予がある場合に限る。


※ただし時間に猶予がある場合に限る
※ただし時間に猶予がある場合に限る
※ただし時間に猶予がある場合に限る
※ただし時間に猶予がある場合に限る


燃料がぎりぎりであることが確定している状況というのはつまり1分1秒を争う事態であって、相談している暇などないわけです。
宇宙飛行士にとって1秒の判断の遅れは死を意味します。
つまりこの状況においての船長としてのリーダーシップは 2 が正解となる、ということでした。

それともう1点大切なことが。
部下の意見を聞くことはとても大切なことです。
ただし自分の意見は必ず持っていなさい。


※ただし自分の意見は必ず持っていなさい
※ただし自分の意見は必ず持っていなさい
※ただし自分の意見は必ず持っていなさい
※ただし自分の意見は必ず持っていなさい


これなー。そう思ってたんだけどなー。俺だったらこういう場合に「俺ワカンネ」とか絶対言わないしなー。



orz



ワークショップ前半で解説された「チーム行動に必要な能力」には以下の8つが規定されています。
  1. 自己管理
  2. コミュニケーション
  3. 異文化適応
  4. チームワーク
  5. リーダーシップ
  6. チーム不協和対応
  7. 状況認識
  8. 意思決定と問題解決
各規定のそれぞれの定義がまた大変興味深かったんですが、それはまた別の機会にまとめるとして、とにかく僕には少なくとも 7 の能力が不足していたわけです……orz


質問1も面白かったんですが、輪をかけて面白かったのが質問2でした。
これはまた別エントリーで。